あの日、西日が指す放課後。


私はその日、嫌なことがあってね。


一人で教室で泣いてたら、偶然教室に入ってきたキミがハンカチを差し出してくれたね。


ハンカチを不器用に差し出すキミの仕草に


私はなぜかやすらぎを感じたんだ。


いつもシャイな印象のキミと初めて言葉を交わしたのはあのときだったよね。


同じクラスだったのに、一回もしゃべったことがなかったんだっけ。


「大丈夫?」


そう言ってハンカチを差し出した君。


「…う……ふぇ……ありがと。」


貸してもらったハンカチで涙をふいても全然止まんなくて。


止まれ!止まれ!って何回思っても止まらなくて。