〔短編〕夏の夜の蛍

What? 当日

麻実は圭太に言った。

「ねぇ、着いたけど、ここどこの田舎?」

風は清々しいが、暑さで今にも溶けそうだ。

バス停に、3人はいた。
8月14日、正午。

「うーん、泊まるところどうする?」

圭太はボケていた。
どうして寝床を確保したなかったのか、と麻実は頭を抱えたくなった。



「まぁ、どっかの民家借りようよ」

「はぁ!?もう、圭太も頼りになんないわけ?」
麻実は噛み付きそうな勢いだった。

「よし、そうとなれば麻実、圭太、とりあえずトランクとか持って民家探そうぜ」

大輝が言った。お、意外と頼りになるな。とりあえず、民家を借りるくらいしか手は無さそうだ。

私達は、トランクを運び始める。
野原を突っ切ると、この農村の周りが見渡せた。

田んぼが広がっていて、爽やかな風が吹き、穂が揺れている。

野原のど真ん中に立ち尽くす麻実達を、田んぼの人は下から見上げていた。

圭太は一心不乱に考え事をしている。

周りには民家が数軒があった。

「お、民家発見」

大輝が言った。大輝はこの中でも最も目が良い。

「珍しくやる気あるわね、大輝」
「そりゃ寝床が無いのは困るしな」

「こいつ........珍しく頼れるわね、圭太より!」


麻実は、わざと圭太より!を強調した。

だが、反応が無い。
圭太は、なにやら考え事をしていた。

珍しく、圭太に麻実は腹がたった。

「ここにしねぇか?」

「イイわね」

そこは歴史を感じる日本家屋だった。

どっしりとしてきて、茅葺き屋根。

「わー、かっこよ」

「ほら、呼ぶわよ」

圭太を引きずり、麻実は扉に手をかけ、一瞬迷ったあと、勢い良く開ける。

からからから。

「すいません」

応答はない。

「すみませーーーん!」

大きな声で呼ぶも、応答は無かった。

「誰もいないのかな?」