〔短編〕夏の夜の蛍

打倒暇!!

「あっちーなー、家帰ったらクーラー付いてなかったら俺死ぬぜ?」

帰り道。大輝は照りつけてくる太陽をギロリと睨んだ。

「あんたなんか死んだって、太陽は知らんぷりするわよ」

「はは、麻実きついなぁ。
大輝、この暑さに負けるなよ」

圭太がクスリと笑いながら言った。

「あーあ、あちーし、肝試ししねーか?」

「大輝、さっきも言ってたよね。

本当に行くの?」

「えーやだよ、あたし怖いの苦手」

「うるせーな、麻実行かないから良いし、別に」

大輝はやや不満そうに言った。

「ちょっと、仲間ハズレとか酷くない?

暇だし行くわよ。今度のお盆とかどう?」

「お前ノリノリじゃねーか。俺はばあちゃんの墓参り以外、お盆の予定ねーしな。へーきだぜ。圭太、どーか?」

大輝は圭太に向かって聞いた。

「うーん......僕も特に無いなぁ。

そうだなぁ、どこかの森とかで肝試しするの?」

「それが良いよな、懐中電灯持ってこうぜ!そんでー、夜でー、」

「妄想するのもいーけどね、大輝。
どこの森で肝試しするの?」

「神秘の森でよくね?」

神秘の森というのは、3人の家から1キロほどの所にある小さな森だ。

直径も1キロほどしかない。
そこで小さい頃よく遊び、その森は知り尽くしていた。

「やだよ、もう中学生なんだし、ガキっぽくない?それにあそこはもう何度も行ったわよ」

「えーっと、、、圭太、どう思う?」

困ったことがあるとすぐに圭太に頼るのは、大輝の悪い癖である。

「そうだなぁ......じゃあ昼ごはん食べ終わったら、僕の家に来てくれないか?

パソコンとか、本で色々調べてみるから、2人が良いと思ったところに行こう。

遠出したいしね」

「わかった!」

2人の威勢の良い返事は、夏の空に吸い込まれていった。