「...深梨君」
私のところに来る時、いつもなら田中君も一緒にいるはずなのに今日はいない。
教室を全体に視線を移し、田中君を探してみるけど姿がない。
休みかな?
「花...?」
なんとなく頭の中で田中君不在の理由を考えていると、佐奈ちゃんの声。
「花、今日有史いないから勝手に班決めとくけど、花は誰と一緒?」
どうせ友達なんていないだろうけど、とあとから聞こえてきそうなくらい皮肉めいた深梨くんの声に少し怯む。
「...さ、佐奈ちゃんと」
「佐奈ちゃん?」
「竹田さん」
そう言うと、深梨君の視線は私の横にいる花ちゃんへと移る。
「ふーん、わかった」
それだけ言って、深梨君は自分の席に戻っていった。
深梨君の後ろ姿を目で追っていると、
「なんかイメージと違うね」
佐奈ちゃんが意外そうにこちらを見てそう言って。
このタイミングってことは、深梨君のことだよね...?

