「では、合宿の班を決めてください」
その担任の声を合図に、みんながそれぞれ声をかけ合って班を決めていく。
私は友達がいないから、どうすることもできずに俯いていると、
「花ちゃん、一緒の班になろ?」
そう声をかけられた。
声をかけてくれた子は誰だろうと顔をあげてみると、ぱっちり二重のモデルさんみたいな顔をした女の子がいた。
申し訳ないけれど、このクラスの人とあまりかかわりを持ったことのない私は、名前が分からない。
「...ありがとう。ごめん、名前教えてもらっていい?」
「竹田佐奈(たけださな)。佐奈で良いよ」
クラスメートなのに、名前を覚えていなかった私に、嫌な顔をせず名前を教えてくれた。
「さ、佐奈ちゃん、私...も、花でいいよ」
高校に入って“初めて”できそうな友達に、心が浮ついているのがわかる。