「お邪魔します。」


『どうぞ。』


「ありがと。」


助手席に座り、ドアを閉める。


『ごめんね。ここまで来てもらって。』


「ううん。大丈夫。
でも、どうしたの?」


『うーん。実はね…』


前を向いたまま話していた彼が、
体の向きを少し私の方に向けてきた。


『別に嫌だったら嫌って言ってもらっていいからね。』


「ん?」


思わず、首を傾げてしまった。