新月の夜
いつもより暗い路地裏に
月のない空を見上げる少女がいた
その場所に似つかわしくない少女は
遠目でみてもスタイルがよく
ヒールのあるショートブーツを履き
コートの前を閉め、
フードを被っているため
顔はよく見えないかったが
時々見える肌は 真っ白で美しかった
少女の足元には
銀色の砂と
男の人が2人倒れていた
男たちの手には
薔薇と十字架の紋章のついた銃があった
少女は銃を拾い上げフードをとった
フードの中からは
ミルクティー色の腰まであるストレートの髪がさらりとこぼれ落ちた
目は血色に光り、悲しみと憎しみに染まっていた
口元に笑みを浮かべて
「…貴方たちは殺しすぎたの。
もう、私たちの世界を返して?」
その時見えたのは歯の中に
鋭く尖った2本の牙だった
手に持っていた銃にふぅっと息を吹きかけると銃は砂になりさらさらと指からこぼれ落ちていった
少女はフードを被り直し そのままさっていった