消しゴム一つぶんの思い出が
私と彼とをつなぐ
たったはひとつの糸
淡いピンクをしたその糸は
いつ赤くなるのだろう
焦っていた私に差し出された
大きな手
そこには半分になった消しゴム
「あげる」
少しぶっきらぼうに言う彼
ありがとう、そう言って受け取る私
微かに重なった手が
互いの体温を伝える
せっかくくれたものなのに
なんだかもったいなくて使いたくなくて
でも、使わなきゃいけなくなって
握った小さなかけらは
まだ彼のぬくもりが
残っているような気がした
それが手の中にある間は
彼と同じなにかを共有してるみたいで
嬉しかった
今だけは
私と彼、ふたりで一つ
どんどん小さくなっていく
消しゴム
それとは反対に
日に日に大きくなっていく
私の気持ち