私の師匠は沖田総司です【下】


「でも、先生!労咳が治る人もいるんやろ!ウチ、聞いたことあるで!」

以蔵が医者の肩を掴むが、医者の表情は変わらなかった。

「彼女に関しては治る見込みはない。もともと身体が弱いのか、普通よりも労咳の進行が速いんだ。それに身体もずいぶん弱っている。今、生きていることが奇跡に近い」

「そんな……」

「おそらく彼女の命は後1年ともたないだろう」

医者から突きつけられたのはあまりにも残酷な余命宣告。

俺は現実を受け止めきれないまま、部屋の奥で眠る蒼蝶を見た。

今、蒼蝶の命は眠っている間も一刻一刻と短くなっていく。

……どうして蒼蝶がこんな目に合わないといけないんだ?

純粋に大切な人の未来を変えたいと願い続けて、ずっと頑張っていただけなのに。

こんなの、いくらなんでもあんまりだろ……。

どんなに蒼蝶の運命を呪っても仕方がないとは思っても、俺はその運命を恨まずにはいられなかった。