私の師匠は沖田総司です【下】


蒼蝶は俺に助けを求めてたんだ。

それなのに、蒼蝶を残して町を出てしまった。

蒼蝶なら大丈夫だって思ってたんだ。いつも自分で道を切り拓いてきた蒼蝶なら何とかするって。

その思い込みの結果がこれだ。

いつもと様子が違うのは分かってたのに、どうして俺は傍にいてやらなかったんだ。

もし、俺が傍にいたらこんなことにならなかったかもしれないのに……。

しばらく以蔵と二人で部屋の外の廊下で待っていると、襖がガラッと開き医者がでてきた。

「先生、蒼蝶ちゃんは?」

俺よりも早く以蔵が医者に言った。

医者はどこが話し難そうに表情を曇らせている。

「顔面の打撲、それに右足首には酷い捻挫があった。それに何より、彼女は死病に侵されている」

「死病って……」

「彼女は労咳だ」

「労咳……?蒼蝶が?」

医者の言葉が信じられなくて、どこか遠くから聞いている気がした。

労咳に治療法はなく、発症すれば高い確率で死亡する。