「……蒼蝶に何があったかは分からない。とりあえず今は無事を祈るしかねえだろ」 「そうやな。祈ることしかできない、無力な自分がいやになるわ……」 「俺もだ……」 そう。本当に何もできないのがもどかしくて、でも、無力で。 ただ無事を祈るしかできない。そんな俺がいやで。 でも、それ以上にいやなのは町に残らなかった過去の俺。 1ヶ月前、どうして俺は町に残らなかったんだろう。 初めて蒼蝶を寺田屋に連れて来たとき、あいつは今までみたことがないほど俺に縋ってきた。