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長い眠りから目覚めるように、私は目を覚ました。
目を開けて最初に見えたのは組長の姿でした。
そして、その回りには土方さんや近藤さんや他の隊の隊士の姿があります。
なぜか全員、驚きと恐れを合せたような表情をしているのです。
「沖田はん!」
後ろから艶子さんが走ってくると、組長が艶子さんを背中で庇うように立ちました。
「どうか、したんですか?」
「どうしたはこっちのセリフだ!」
「え……?」
理解できずにいると、手に何かを持っているのに気づきました。そちらに目を向けると思わず息を呑んだ。
だって、手に握られているのは血が付着している小刀だったから。
それも少しじゃない。刀身の全てを赤に染め上げるほどの血の量だ。
「うぅ……」
呻き声がする方を見れば間者隊士が血を流して倒れていた。


