私の師匠は沖田総司です【下】


敵の攻撃をかわし、斬りつけるのを繰り返していると、全員を倒すのに1分もかからなかった。

まだ息がある奴がいるけど、しばらくは動けない筈だ。

死んでないとはいえ、深く斬りつけたから。

『さてと……』

僕はさっきから腰を抜かしている女に近づいた。

確か艶子、とかいう名前だった気がする。

その女は僕が近づくと、ビクリと身体を震わせた。

僕が出てくる前は随分横暴な女だったけど、今は怯えた目をしている。

強気な女を知っているからこそ、怯えた姿が滑稽に映った。

『君さ、随分蒼蝶にひどいことしたらしいね。らくに死ねるなんて思わないでね』

小刀を向け見下ろしながら言うと、女はぎこちないけど強気な笑みを浮かべた。

「蒼蝶さんに何があったかは知らんけど、この状況利用させてもらうで」

『……?何をするつもり?』

女はふっと不敵に笑うと息を大きく吸い込んだ。

「誰かーー!!誰か来てーー!蒼蝶さんがーーー!!」

女は大声で叫ぶと、周りが騒がしくなった。

「ふふっ。蒼蝶さん、アンタの負けや」