敵の攻撃をかわし、斬りつけるのを繰り返していると、全員を倒すのに1分もかからなかった。
まだ息がある奴がいるけど、しばらくは動けない筈だ。
死んでないとはいえ、深く斬りつけたから。
『さてと……』
僕はさっきから腰を抜かしている女に近づいた。
確か艶子、とかいう名前だった気がする。
その女は僕が近づくと、ビクリと身体を震わせた。
僕が出てくる前は随分横暴な女だったけど、今は怯えた目をしている。
強気な女を知っているからこそ、怯えた姿が滑稽に映った。
『君さ、随分蒼蝶にひどいことしたらしいね。らくに死ねるなんて思わないでね』
小刀を向け見下ろしながら言うと、女はぎこちないけど強気な笑みを浮かべた。
「蒼蝶さんに何があったかは知らんけど、この状況利用させてもらうで」
『……?何をするつもり?』
女はふっと不敵に笑うと息を大きく吸い込んだ。
「誰かーー!!誰か来てーー!蒼蝶さんがーーー!!」
女は大声で叫ぶと、周りが騒がしくなった。
「ふふっ。蒼蝶さん、アンタの負けや」


