私の師匠は沖田総司です【下】


「返して!」

懐中時計を奪い返そうとしましたが、両腕を拘束されているせいで手が届かない。

それをいいことに、艶子さんはわざと私の顔の前に懐中時計をぶら下げ、挑発してくる。

「蒼蝶さん、ずいぶん必死やね。これ、そんなに大事な物なん?」

「お願いします、返してください」

「ふふふ、どうしようかな~」

艶子さんは懐中時計の鎖を掴み、柱時計の振り子のように左右に振る。

鎖が千切れないか気が気でならない。

しばらく私を見ていた艶子さんでしたが、笑みをさらに深めると、懐中時計を握りしめ腕を振り上げた。

高々と上げられた腕に目を見開く。

「や、やめ……!」

止めようとしたけれど、それも虚しく懐中時計は地面に叩きつけられた。

地面を跳ねると、ガラスが割れるいやな音が耳を震わせる。

力なく地面に仰向けに横たわる懐中時計を見た瞬間、全身が怒りに震えた。