斎藤さんの説明を聞きながら、私は純粋に斎藤さんはすごいなと思いました。
私の悪い噂が流れる中、その噂に流されない斎藤さん。
ここまで人の噂に流されず、自分の考えを曲げないなんて普通できない。
だって人はどうしても多数派にいってしまう生き物だから。
その方が安全だと本能的に分かっているから、間違っていると思っても多数派の意見に加担してしまう。
「……斎藤さんは、強い人ですね」
「強い?」
「はい。人に流されないで、強い信念を持ち続けられるのは心が強い証拠です」
私の言葉に斎藤さんはフッと笑いました。
どこか口元に苦い笑みを含んでいます。
「そう言ってくれると嬉しいな。今まで我が道を行き過ぎて、俺は堅物だの変人だのと馬鹿にされてきたことが多かったからな」
「そうなんですか?斎藤さんをバカにした人たちは分かっていませんね。我が道を行けるのは斎藤さんのいいところです。
そんな斎藤さんに救われた人はいる筈ですよ」
少なくとも私の心は救われた。
まだ私を信じてくれる人がいてくれて本当に嬉しかった。


