私の師匠は沖田総司です【下】


「天宮は変わった返事をするんだな」

私に話し掛けてきたのは斎藤さんでした。

斎藤さんは私の返事がよっぽどウケたのか、クスクスと可笑しそうに笑っています。

ここしばらく見てなかった人の笑顔に、心が少し軽くなった気がしました。

「……天宮の笑った顔、久しぶりに見た」

「え?」

気付かないうちに私も笑っていたようです。

そう言えば斎藤さんの言う通り、私も笑ったのは久しぶりな気がします。

辛くて暗い顔ばかりしていましたからね。

すっかり表情筋が硬くなってしまっています。

「笑えたのは斎藤さんのおかげです」

「そうか。だったらもっと笑顔になれる物をやる」

斎藤さんは私の手を取ると、美味しそうな三色団子が3本乗ったお皿を乗せました。

「あの、これは?」

「さっき買ってきたのだが、一人では食いきれなかったんだ。余り物で悪いがおまえにやる。くれぐれも総司にとられるなよ」

「はい……、ありがとうございます」

「用はそれだけだ。引きとめて悪かったな」

「……あのっ!」

私はどこかへ行ってしまう斎藤さんを呼び止めた。