せめて、池田屋事件まで……。

新選組の名を一気に広め、そして明治維新を1年遅らせたともいわれる有名な池田屋事件をこの目で見て、組長の無事を見届けるまで新選組から離れられない。

まだ私が現代で暮らしていたとき、師匠は池田屋事件で血を吐いたと言っていたから、そこで組長が労咳になっているかいないか分かる。

今、組長は咳はなく元気そうだから大丈夫だと思う。

でも……池田屋事件まで心から安心はできない。

「ゲホッ!ゲホッ、ゴホッ……ゲホッ!」

胸が痛み、乾いた咳が止まらず、息ができなくてその場に蹲ってしまう。

最近は微熱も続き、咳もひどくなる一方。

身体も心もボロボロだった。

でも、たとえ身体や心が傷だらけだとしても、私は新選組と共にいる。

身体が弱くて入院生活を送っていた私に、生きる希望を与えてくれた師匠を成仏させてあげたいから。

師匠を助けられるのは私だけなんだ。