「蒼蝶ちゃん優勝おめでとう!」
「ありがとう、詩織」
詩織が私に抱きついてくる。
試合は接戦の末、私が優勝した。手には優勝した証として賞状とトロフィーがある。
でもあまり実感がないのが正直な感想。
私が全国1位なんて夢みたいな話だ。
「やっぱり蒼蝶は強いわね」
小鳩が言った。
「小鳩も強かったよ。私が負けてもおかしくなかった」
「でも、今回は私の負けよ。……優勝おめでとう」
「ありがとう」
小鳩からお祝いの言葉を貰えるなんて、なんだかちょっと照れくさいな。
「今日、高校最後の試合だったけど、また私と勝負してくれる?」
「もちろん!」
私だって小鳩と試合がしたい。
最後なんて寂しすぎる。せっかくお互いにいいライバルだって思ってるんだから。


