それからも私たちは勝ち進み、そして決勝戦は私と小鳩になった。
「小鳩、負けないからね」
「こっちこそ負けないから」
お互いに声を掛け合って決勝の準備をする。
そして大勢の視線が集まるなか、お互い向かい合い竹刀を向けた。
こうやって竹刀を持って向かい合っていると、池田屋事件の夜を思い出す。
今は防具もつけてるし持っているのも竹刀だけど、緊張感はあの夜と一緒。
やっぱり小鳩との試合は普通の試合とは違う気がした。
竹刀を握っていても命のやり取りをしているような気分になる。
主審の声で始まる。
お互いに竹刀の先を離したり近付けたりして相手の出方をみる。
そして、何度目か竹刀の先が離れた瞬間、同時に前に出た。


