「お嬢様、着きました」
いつの間にか会場についていた。
会場は今まで試合した場所の中でも一番大きくて、あまりの建物の大きさに自分が蟻になったような気分になる。
うわっ……いよいよ緊張してきた……。
試合もまだなのに大丈夫かな。
「運転ありがとうございました」
「いえいえ。お二人とも頑張ってくださいね」
執事さんにペコッと頭を下げてから小鳩と入り口に向かうと、顧問の先生と詩織の姿があった。
実は詩織、私が剣道部に入ると同時に剣道部のマネージャーになってくれたのです。
もともと気配りが上手な詩織はマネージャーの仕事をあっと言う間に覚え、テキパキとこなし、現在では剣道部のおかん的存在です。
「蒼蝶ちゃん、小鳩ちゃん、おはよう」
「おはよう、詩織。先生もおはようございます」
詩織たちと合流して会場に入る。


