「ちゃんと決勝まで勝ち上がってきなさいよ」
「小鳩もね。大丈夫なの?」
「ふん。無用な心配よ」
小鳩が得意げに笑ってみせる。
今までの小鳩との試合結果はほぼ五分五分。
だから今日もどっちが勝つか全然予想がつかない。
「楽しみね。蒼蝶が剣道部に入ってから試合が楽しみでしかたないわ」
「私も試合が楽しみだよ。小鳩、本当に強いから」
「……こんないいライバルができて、私、幸せね」
なんだか今日、小鳩が素直だ……。
「小鳩が素直なんて……、まさかこれは小鳩の死亡フラグ……」
「変なフラグ立てないで。あなたごと叩き折るわよ」
「あ、いつもの小鳩だ」
ほっ、安心安心。
大きな試合の前に素直になるんだから心配しちゃった。


