「早く行くわよ」
「うん」
スニーカーの靴紐を結んでいると、後ろからパタパタとスリッパを鳴らす音がした。
「蒼蝶、お弁当忘れてる」
「あ、ごめん。ありがとう」
お弁当を受け取ると、お母さんが小鳩にニコッと笑顔を向けた。
「小鳩ちゃん、蒼蝶のことお願いね」
「はい」
「後からお父さんと一緒に見に行くから二人とも頑張ってね」
「うん」
「ありがとうございます」
靴紐をキチッと結ぶと、荷物を持って高級車に乗り込む。
「そう言えばさ。小鳩との試合は決勝まであたらないよね」
スポーツバックからトーナメント表を取り出す。
大会開催者の企みか、神様の悪戯かはわかりませんが、私と小鳩はほぼ真反対の位置に名前がある。
ちなみに私は1試合目から試合だ。


