私の師匠は沖田総司です【下】


「早く行くわよ」

「うん」

スニーカーの靴紐を結んでいると、後ろからパタパタとスリッパを鳴らす音がした。

「蒼蝶、お弁当忘れてる」

「あ、ごめん。ありがとう」

お弁当を受け取ると、お母さんが小鳩にニコッと笑顔を向けた。

「小鳩ちゃん、蒼蝶のことお願いね」

「はい」

「後からお父さんと一緒に見に行くから二人とも頑張ってね」

「うん」

「ありがとうございます」

靴紐をキチッと結ぶと、荷物を持って高級車に乗り込む。

「そう言えばさ。小鳩との試合は決勝まであたらないよね」

スポーツバックからトーナメント表を取り出す。

大会開催者の企みか、神様の悪戯かはわかりませんが、私と小鳩はほぼ真反対の位置に名前がある。

ちなみに私は1試合目から試合だ。