私の師匠は沖田総司です【下】


最後に月を瞳に写し、目を閉じれば、あたたかい涙が頬を伝った感触がした。

後は、私がどうなるのか自然に任せるのみ。

元の時代に戻るのか。

それとも、このまま死ぬか。

「師匠……」

もし死んで幽霊になったら、私を迎えに来てくれますか?


『もちろん、迎えに行ってあげるよ』


聞こえた声にハッと目を開けば、私はあの異世界のような幻想的な空間の中に立っていた。

そして、前からゆっくりと誰かが私のところに向かって歩いてくる。


『でも、それは今じゃない。だって蒼蝶はまだ生きているんだから』


呆ける私に向かって微笑みかけてくれるのは、師匠だった。

「師匠……、師匠―――!」

胸に飛び込むと、師匠は私をしっかりと抱きしめて頭をよしよしと撫でてくれる。

「師匠ぉ……う、うぅぅ~……」

『蒼蝶は本当に泣き虫なんだから。会うたびに泣いてるよ』

「だって、師匠に会えたのが嬉しくて……」

『僕も蒼蝶と会えて嬉しいよ』

師匠は嬉し泣きをする私に微笑みながら、私が泣きやむまでしっかりと抱きしめてくれた。