「っ……!?なに……」
「最後に油断したね、小鳩」
彼女の腹にはずっと懐にしまっていた短刀が突き刺さっていた。
小鳩は血を吐き、魂が抜けるように地面に倒れる。彼女が倒れたところから椿に似た色の血が地面に広がった。
ズキッと斬られた部分が痛み、私も地面に倒れる。
浅い息を繰り返しながら、私は月に向かって手を伸ばした。
「これで……全部、終わった……」
組長が労咳になっていないことをこの目で確かめたし、小鳩との決着もつけた。
この時代でやり残したことはもうない。
涙で月の形が歪む。
伸ばしていた腕にも力が入らなくなり、地面に落ちた。
どくどくと流れ続ける血と一緒に命が流れていく。
身体が寒くて、頭がぼんやりする。
瞼が重くて開けていられない。


