「ぅっ……」
強い眩暈に襲われる。
そろそろ体力の限界が近付いているのかもしれない。
もう、何度も刀は振れない。
次で、決める。
頭に師匠の姿をイメージして刀を構える。
私が放つ最後の一撃は師匠直伝の三段突きしかない。
小鳩も刀を構える。
互いにそのときを待ち、そして、私たちのあいだを風が通り抜けた瞬間、同時に走り出した。
小鳩よりも先に私の突きが放たれるが、身をかわして避けられる。
けど、小鳩なら最初の一撃は避けられると思っていた私はすぐに二撃目を放とうとした。
でも、それよりも早く小鳩が刀を下から上へと振り上げた。
キィン……と、高い音を立てて私の手から刀が消える。
「私の勝ちよ!」
勝利を確信した小鳩が上段から私目がけて刃を振り降ろそうとする。
私は咄嗟に懐に手を入れ、そこから取り出したものを彼女の腹に突き刺した。


