「はぁ!」
刀を交わらせ、離れる。そして、また交わらせる。
以前より小鳩の斬撃は鋭さが増していて、少しでも気を抜けばヒヤッとする。
やっぱり小鳩は強い。
この時代に来て変わったのは私だけじゃないんだ。
「っ!」
一瞬の隙を突かれ、剣先が脇腹を霞め、血が流れる。
「ぐっ、げほっげほっ!」
胸が痛み、口を手で覆うと、隙間から血が漏れて地面に赤い斑点を作る。
「今の蒼蝶は沖田総司みたいね」
小鳩がポツリと呟いた。
「沖田総司も池田屋で、血を吐きながらも刀を振るっていたんでしょう?」
「……そうだね」
もしかすると私が労咳になったのは、本来組長が辿るはずだった運命を、変わりにこの身に受けているからかもしれない。
そう思えばいやでいやでしかたなかった労咳が誇らしく思えた。


