私の師匠は沖田総司です【下】


「はぁ!」

刀を交わらせ、離れる。そして、また交わらせる。

以前より小鳩の斬撃は鋭さが増していて、少しでも気を抜けばヒヤッとする。

やっぱり小鳩は強い。

この時代に来て変わったのは私だけじゃないんだ。

「っ!」

一瞬の隙を突かれ、剣先が脇腹を霞め、血が流れる。

「ぐっ、げほっげほっ!」

胸が痛み、口を手で覆うと、隙間から血が漏れて地面に赤い斑点を作る。

「今の蒼蝶は沖田総司みたいね」

小鳩がポツリと呟いた。

「沖田総司も池田屋で、血を吐きながらも刀を振るっていたんでしょう?」

「……そうだね」

もしかすると私が労咳になったのは、本来組長が辿るはずだった運命を、変わりにこの身に受けているからかもしれない。

そう思えばいやでいやでしかたなかった労咳が誇らしく思えた。