私の師匠は沖田総司です【下】


「……本当によかったの?」

「選べと言ったのはあなたじゃない」

「そうだけど……」

「すっかり忘れてたわ。自分がこの時代に来た目的。でも……これで、ようやく果たせるわけね」

小鳩が柄に手を置き、私も刀をいつでも抜ける状態にする。

「今度こそ私が勝つわ」

「ごめんだけど、今回も負けるつもりはないから」

鋼同士がぶつかるけたたましい音と火花が薄闇の空間に飛び散る。

互いに距離をとったそれぞれの手には、抜身の刀が握られていた。

こうやって、刀同士を向い合せていると、タイムスリップする前にやった剣道の試合を思い出す。

違うのは、今、お互いの手に握られているのは竹刀ではなく本物の刀。

刃が当たれば、それはすぐに死を意味する極限の状態。

けど、心は自然と落ち着いていて、逆にわくわくした高揚感が全身を支配し始めていた。