「小鳩、どうしたの?早く、援軍を呼ばないと」
「稔麿さん、援軍は呼ばない方がいいです」
「え……?」
私はずっと痛む胸を掴みながら、声を奥から絞り出す。
「今、援軍を池田屋に呼んでしまったら、全面戦争になって今よりも多くの血が流れてしまいます」
「でも、まだ仲間が池田屋にいるんだ!放っておけるわけないだろ!」
「池田屋にはすでに新選組の他に役人が大勢います!援軍を呼んだとしても勝てる見込みはありません!行っても犬死もいいところです!ここはいったん逃げて、もう一度体制を立て直してください!」
「……僕が新選組の羽織を着た君のいうことを聞けって言うの?」
稔麿さんが柄に手を添える。
そして鯉口を切ったところを、ずっと黙ったままだった小鳩が手で制した。


