「小鳩、こんな状況だけどすぐに選んでほしいの。このまま稔麿さんと逃げるか、それとも、貴方がこの時代に来た目的を果たすか」
突如迫らせた選択に、小鳩は言葉を失い、私を見る。
その間も身体が透ける感覚が短くなっていくのを感じた。
「お願い。このまま消えたら私、どうなるかわからない。現代に戻るのかもしれないし、このまま死ぬのかもしれない」
そう。この身体が透けている意味が、現代へ戻るタイムリミットが迫っているのか、それとも私の命が尽きかけているせいなのかわからない。
現代に戻るだけならいいけど、もし、後者なら小鳩が幕末の時代まで私を追いかけてきた意味がなくなってしまう。
「小鳩……何の話?」
状況が飲み込めない稔麿さんが小鳩に話し掛ける。
けど、小鳩は何も言わず、手を握りしめていた。


