「天宮さん……?」
私の身体が透けたのが見えたのか、組長の瞳が不安そうに揺らめく。
組長を安心させるように微笑むと、手を伸ばして組長の頬を優しく撫でた。
「組長。私がいなくなっても、ちゃんと手洗いうがいをして、野菜を食べるんですよ。甘い物ばかり食べてたらダメです」
「なんで、お別れの言葉みたいなこと言ってるの?」
「みたい、じゃなくて組長とお別れなんです」
「どうして!お別れなんて言わないでよ!僕はもっと天宮さんと一緒にいたい!せっかく記憶が戻って、また一緒に暮らせるようになったのに……あんまりだよ!!」
組長が私の身体を抱きしめる。
私を抱きしめる腕が震えていて、全身でいなくならないで、と言われているようだった。
組長の背をあやすようにポンポンと軽く叩く。
「……組長、ごめんなさい」


