私の師匠は沖田総司です【下】


「天宮さん……?」

私の身体が透けたのが見えたのか、組長の瞳が不安そうに揺らめく。

組長を安心させるように微笑むと、手を伸ばして組長の頬を優しく撫でた。

「組長。私がいなくなっても、ちゃんと手洗いうがいをして、野菜を食べるんですよ。甘い物ばかり食べてたらダメです」

「なんで、お別れの言葉みたいなこと言ってるの?」

「みたい、じゃなくて組長とお別れなんです」

「どうして!お別れなんて言わないでよ!僕はもっと天宮さんと一緒にいたい!せっかく記憶が戻って、また一緒に暮らせるようになったのに……あんまりだよ!!」

組長が私の身体を抱きしめる。

私を抱きしめる腕が震えていて、全身でいなくならないで、と言われているようだった。

組長の背をあやすようにポンポンと軽く叩く。

「……組長、ごめんなさい」