平助君よりも羽織を血に染めた組長が私のところにやってくる。
足がもつれ、倒れそうなところを組長に抱き留められた。
「どうしてこんな身体で来るのさ!自分がどれだけ危ないことしてるのかわかってる!?」
「ご、ごめんなさい!でも、どうしても確かめたいことがあったんです」
「確かめたいこと?」
組長が訝しげな目で私を見る。
「体調はどうですか?気持ち悪くなったり、咳がでたりしてませんか?」
手を組長の首に当てて熱を測るけど、熱はなさそうだ。顔色も悪くない。
「体調なら大丈夫。むしろ、いつもより絶好調。あの不思議な味がする水のおかげかな」
「よかった……」
本当によかった。組長は労咳になっていない。
ずっと張り詰めていた心と身体が緩む気がした。
これで
「私の役目も終わりだ」
……そう呟いた時、私の手が一瞬透けた。


