「けほっけほっ……」
裏口から池田屋へ入る。
暗い部屋の中でも目立つ浅葱色の羽織は敵か味方か判断しやすい。
「新選組!覚悟!」
私の存在に気付いた浪士が刀を振り上げる。
すぐに腰に差していた刀を抜き、峰で相手の手を叩き、刀から手を離させるとそのまま腹に峰打ちを叩き込んだ。
浪士が気を失うと、横を通り走り出す。
浪士たちの間を通り過ぎざまに峰打ちを与え、気を失わせていく。
不意に鉢金を外している平助君の姿が見えた。
そんな彼の背後には忍び寄るように迫る浪士の姿。
「平助君、危ない!!」
回りの音に掻き消されなよう、大きな声で叫ぶ。
私の声で迫り来る危険に気付いた平助君が自分の刀で相手の腹を斬った。
そして、背中合わせになってそれぞれの背後を守る。
「蒼蝶!どうしてここにいるんでさァ!」
「どうしても確かめたいことがあって……。平助君、お願いがあるの。永倉さんのそばで戦ってください」
「はァ、何で!?新八さんなら大丈夫ですぜ」


