私の師匠は沖田総司です【下】


組長が労咳になっているか否か、それがわかるのは今日の池田屋事件の日。

のうのうと部屋で寝てるわけがありません。

本当に土方さんたちに未来から来たことを話さなくてよかった。

もし話していたら、頭の切れる土方さんなら、私が部屋を抜け出すと予想して、私を縄で縛りあげていたかもしれませんから。

あの人ならやりかねません。

押し入れから行李を引っ張り出し、長いこと入れっぱなしだった着物を取り出す。

ちょっと埃っぽい臭いがするけど、虫食い穴はないですね。

寝間着から着物に着替え、髪を三つ編みに結い直すと、二つに分かれた師匠の刀の一振りを腰に差し、小刀は懐にいれた。

浅葱色の羽織を身にまとい、最後に鉢金を絞める。

全ての準備が整うと、屯所に残っている山南さんや他の隊士にみつからないよう部屋をそっと抜け出し、屯所の裏口から外に出た。