「ふぅ……」
一つ息を吐いて手に戸を掛け、扉を開けようと力を込めたときだった。
「さっきから何してんだおまえら」
同時に土方さんが扉を開けました。
そして、空いた蔵の奥から血の臭いがする。
土方さんの脇から中を覗き込むと、人が逆さに吊るされている光景があった。
あまりにも残酷な光景に冷や汗が流れる。
「……土方さん、古高さんは自白しましたか?」
「何でおまえがそんなこと……平助」
蔵から出て来たときから、鋭かった土方さんの双眼がさらに鋭くなり、後ろにいた平助君に注がれる。
「平助君は私に何も話していませんよ。それよりも、どうですか?」
「……全くだ。悲鳴をあげるだけで何も話さない」
「そうですか……」
ほっとしたような安心感が胸に広がる。
そして同時に、この苦しみから1秒でも早く彼を助けてあげたいと思った。


