「部屋に戻りやすか?」

私は首を横に振った。

「確かめたいことがあるんです」

まだ現代にいた頃、師匠のことをもっと知りたかった私は、学校の図書館に行ったりして、新選組に関する本を読んでいた。

図書館には少ないけど新選組の本が数冊あって、その中でも特に古い本がありました。

ボロボロの表紙を開いてみると、黄ばみかけた紙に新選組の歴史が書かれていて、他の本と類似している部分もあったけど、その中でも興味深かったのは古高俊太郎のことについてです。

ほとんどの本では古高さんは土方さんに拷問をされ、自白してしまうと書いてあった。

けど、その本には古高さんは最後まで自白しなかったと書いてあったのです。

変わりに新選組は彼の家から見つけた紙から、長州の浪士たちが何をするのか突き止めたと書いてありました。

普通なら多くの本に記されている事柄の方が真実に近いと思うけど、私はその本に書かれていた内容の方を信じたかった。

いくら、拷問されたからと言って、大切な仲間を裏切るのは身体に刻まれた傷よりも辛いと思うから。

そして、彼は京の情報を探る大元締めもしていたと書かれてあったから、そんな大役を任される人が簡単に自白するとは思えなかった。