平助君の背は低いけれど、身体にはしっかりと筋肉があって、安心して身を任せることができた。

「飛ばしますぜ。しっかり捕まってなせェよ」

平助君は私を背に乗せたまま、裸足で縁側から庭に飛び降りる。

そして、電光石火の如く走り出した。

私を背負っているとは思えないスピード。瞬く間に蔵に辿り着いてしまいました。

「とうちゃーく」

うだるような湿度が高く暑い空気の中を、平助君は走ったのにもかかわらず、汗一つ掻いていません。

さすが8番隊の組長と言いますか。身体の鍛え方が違います。

平助君の背から降りて、蔵を固く閉ざす扉の前に立つと、中から絶えず呻き声のようなものが聞こえる。

その声を聞く度に、胸が痛む。

「……」

扉の前で怖気づいて、入るか躊躇う私の肩にポンッと手が置かれた。

肩に手を置かれた拍子にビクッと身体を震わせてしまう。