ニヤニヤって……。端から見たら相当気持ち悪い奴じゃん。
「まあ、ちょっと……」
「フフッ。天宮君のことでも思い出していたんでしょう?総司はわかりやすいね」
わかってるなら、わざわざ言わなくてもいいのに。
まあ、多分山南さんは、僕の反応を見て楽しんでいるんだろうけど。
実際、僕の顔は熱くて、山南さんはクスクスと笑っている。
「……山南さんは、どうしてここに?部屋は反対側ですよね」
山南さんは「ああ」と言うと、傍らに置いていた本を手に取った。
「前、天宮君のお見舞いに行ったとき、本を貸して欲しいと頼まれたんです。天宮君の部屋に行く途中だったんですよ」
「そうでしたか」
「暇なら総司も一緒に行きませんか?」
「あ……、いえ。僕は部屋に入れないので……」
するともう一度山南さんは「ああ」と呟く。


