私の師匠は沖田総司です【下】


ニヤニヤって……。端から見たら相当気持ち悪い奴じゃん。

「まあ、ちょっと……」

「フフッ。天宮君のことでも思い出していたんでしょう?総司はわかりやすいね」

わかってるなら、わざわざ言わなくてもいいのに。

まあ、多分山南さんは、僕の反応を見て楽しんでいるんだろうけど。

実際、僕の顔は熱くて、山南さんはクスクスと笑っている。

「……山南さんは、どうしてここに?部屋は反対側ですよね」

山南さんは「ああ」と言うと、傍らに置いていた本を手に取った。

「前、天宮君のお見舞いに行ったとき、本を貸して欲しいと頼まれたんです。天宮君の部屋に行く途中だったんですよ」

「そうでしたか」

「暇なら総司も一緒に行きませんか?」

「あ……、いえ。僕は部屋に入れないので……」

するともう一度山南さんは「ああ」と呟く。