私の師匠は沖田総司です【下】


しばらく心地よい思い出に浸っていると

「総司、幸せそうに笑ってますね」

と、声を掛けられた。

反射的にバッと目を開き、声がした方を見れば、そこには山南さんがニコニコしながら立っていた。

間者隊士と艶子さんの策略により、重傷を負っていた山南さんは、最近新選組に復帰していた。

怪我はだいぶ前からよくなっていたらしいけど、心配性の近藤さんと土方さんの計らいにより、長い事療養生活を送っていたんだ。

しばらく、山南さんと会っていなかったから、今でもたまに首をくすぐられるような気恥ずかしさを感じる。

「山南さん、いつからそこに……」

「さっきですよ。それで、なぜ笑ってたんですか?」

山南さんが隣に座り、仏の名に違わない笑みを浮かべて僕を見る。

「僕……笑ってましたか?」

「はい。目を閉じたまま、ニヤニヤという言葉がふさわしい顔をしていましたよ」