それからはどうやって屯所に戻ったのか覚えていない。

いつの間にか自室に戻っていて、濡れた着物も着替えずに呆然と佇んでいた。

「うっ……あぁっ……」

龍馬さんを傷つけた罪悪感で胸が張り裂けそうで、私は声をあげて泣いた。

私が泣くなんて間違ってる。だって一番傷ついたのは龍馬さんなのだから。

それはわかってる。

でも、涙が止まらなかった。泣くのを止めることができなかった。

龍馬さん、ごめんなさい。貴方を選べなくてごめんなさい。

私は何度も心の中で龍馬さんに謝った。

龍馬さんは謝るなって言ったけど、そんなの無理だよ。だって私には謝ることしかできない。

謝ることしか思いつかない。

「ごめんなさい……龍馬さん……」

部屋の中まで反響する、建物に打ち付ける雨の音に、声をかき消されながら私は龍馬さんに謝った。


こうして、龍馬さんとの恋は終わりを告げた……。