天宮さんの師匠について考えている内に、いつの間にか参拝まで終わっていた。
今は二人で屯所に帰る道を歩いている。
二人、並んで歩いていても僕たちに会話はない。
考え込んでいる僕に気を使ってか、天宮さんは僕の顔をチラッと見るだけで話しかけてこないんだ。
冬の冷たい風を感じながら町の中を歩き続けると、次第に屯所の輪郭がぼんやりと見えてきた。
屯所の門をくぐり抜けると、天宮さんは仕事があると言ってどこかに行ってしまった。
お正月の日ぐらい休めばいいのに。
っておそらく僕が言っても、彼女は「大丈夫ですから」とか言って聞かないだろうな。
僕は……どうしようかな。
自分の部屋に戻っても寒いだけだから、戻る気にはなれない。
土方さんの部屋に行って豊玉発句集を盗みに行こうかと思ったけど、どうも今の気分ではない。
僕は悩んだ末、ある人の部屋に向かった。


