―――ダメ!
突然本能的に、この人を殺してはいけないと強く感じた。
同時に、振り下ろしていた腕の動きがピタッと止まる。
―――この人を殺してはダメだ。
「う゛っ……」
頭に鋭い痛みが走り、その場から離れる。そして、持っていた刀を地面に落とし、地面に蹲った。
「い、痛い……」
頭が裂けるのではないかという痛みと共に、頭の中に沢山の映像が流れた。
見覚えが無いけど、どこか懐かしい映像。
『蒼蝶は僕の自慢の弟子だよ』
頭に優しく流れた声に私は涙が流れた。
「師匠……」
……どうして忘れていたんだろう。私にはとても大切な人がいた。
私に生きる希望を与えてくれた大切な人。
「天宮さん!どうしたの!?大丈夫!?」
私を呼ぶ声で意識を現実に引き戻される。
心配して傍に来てくれたのは、私を自慢の弟子だと言ってくれた師匠と同じ姿をした人。