どんな手をつかってでも、ここから逃げて、龍馬さんのところに帰るんだ。
そうすれば全て解決する。
私が刃先を向け、睨みつけている間、1番隊の組長は顰めていた。
「坂本、坂本って……。そんなにあの男のことが大事なの……?」
「当たり前でしょ。私は龍馬さんのことが好きなの」
「……」
なぜか1番隊の組長の表情が悲しみに染まっていく。
まるで私のことを好きだって訴えかけるような……。そんな切ない表情だ。
けど、そんな切なげな表情は少しずつ怒りを露わにした。
「やっぱり、あの時坂本を殺しておけばよかった」
「は……?」
「だって坂本さえいなくなれば、天宮さんは坂本のことを考えなくなるだろ?」
手が怒りに震える気がした。
こいつは本当に龍馬さんを殺しかねない。そんな予感がひしひしと伝わってくる。
私は怒りの赴くまま走り出し、1番隊の組長に襲い掛かった。
不意を突かれた1番隊の組長は地面に押し倒される。
「殺してやる!おまえなんか殺してやる!」
龍馬さんに危険が及ぶ前に私がこの手で……!
ギュッと刀を握りしめ、大きく振り上げる。
そしてそのまま組長に向かって勢いよく刀を振り下ろした。