私の師匠は沖田総司です【下】


「そこで何してるの?まさか、また脱走?」

「……」

「やっぱりね。部屋に戻るよ」

私に向かって手が伸びる。

私はその手が身体を触れるよりも早く懐刀抜き、横に振った。

1番隊の組長は避けたけど、怯ませることができた。

生まれた隙を見逃さず、私は一気に走り出した。

「天宮さん!ダメだ!」

「きゃっ!離して!」

「っ……」

あっという間に追いつかれて腕を掴まれるけど、刀を振るって手から逃れる。

そしてこれ以上近寄れないように懐刀の鋭い先端を向けた。

「来ないで!」

「お願いだから、刀を下ろして。君とだけは争いたくないんだ」

「いや。私は、龍馬さんのところに帰らないといけないの。じゃないと龍馬さんが……」

龍馬さんが私のせいで捕まってしまうかもしれないだ。

懐刀を握る手に力が込められる。