「そこで何してるの?まさか、また脱走?」
「……」
「やっぱりね。部屋に戻るよ」
私に向かって手が伸びる。
私はその手が身体を触れるよりも早く懐刀抜き、横に振った。
1番隊の組長は避けたけど、怯ませることができた。
生まれた隙を見逃さず、私は一気に走り出した。
「天宮さん!ダメだ!」
「きゃっ!離して!」
「っ……」
あっという間に追いつかれて腕を掴まれるけど、刀を振るって手から逃れる。
そしてこれ以上近寄れないように懐刀の鋭い先端を向けた。
「来ないで!」
「お願いだから、刀を下ろして。君とだけは争いたくないんだ」
「いや。私は、龍馬さんのところに帰らないといけないの。じゃないと龍馬さんが……」
龍馬さんが私のせいで捕まってしまうかもしれないだ。
懐刀を握る手に力が込められる。


