私の師匠は沖田総司です【下】


私は息をするのを忘れ、話に聞き入っていた。

もし、龍馬さんが私のせいで捕まったら……。

怖くなって私は震える身体を抱きしめた。

……やっぱり、ここから逃げよう。

龍馬さんは仲間思いの優しい人だから、たとえ一人でも新選組に乗り込みかねない。

こんなとき、感情的に動いてしまいそうになる龍馬さんを抑える役目を負っているのが岡田さんです。

岡田さんがもうしばらく龍馬さんを押さえてくれたらいいのですが……。

とにかく。早く新選組を出て龍馬さんのところにいかないと。

人の気配に気を付けながら、役に立ちそうな物が無いか押し入れの中を探っていると、指先に何か固い物が当たった。

固い物は二つあるけど、暗くてよく見えない。

押し入れから引っ張り出してみると、固い物の正体は懐刀と普通よりも短い刀。

鞘には蝶々の絵が描かれていた。