「あ……その、ごめんなさい……」
いくら敵とはいえ、亡くなった家族のことを思い出させてしまい、私は謝ることしかできなかった。
鬼副長は私の頭を軽く撫でると、空になったお椀を横から取っていった。
「別に謝る必要はねえよ。まあ、その、なんだ。家族のことがあるから、おまえのことを放っておけないんだよ。わかったか」
「はい……」
「じゃあ、これからは一人で飯を食えよ」
「……」
だからと言って、一人で食べるとなると話は全くの別物ですよ。
ぷいっと顔を背けていると、土方さんはやれやれという感じに部屋から出ていきました。
部屋に残された私は布団を引いてその上に横になる。
久しぶりに感じる満腹感。
いつもあまり眠れないこともあり、うつらうつらと微睡んでいると、小さな話し声が聞こえてきました。
「おい、聞いたか?近々屯所に坂本龍馬が来るかもしれないって噂」
「ああ。天宮さんを取り返しにだろ?」
「もし坂本が攻め込んで来たら必ず捕まえてやる」


