私の師匠は沖田総司です【下】


「天宮さんはどうだった?」

「私ですか?大吉でしたよ」

やった!天宮さんも大吉だ!

虫が良いかもしれないけど、こうなったら神社の噂を信じたい!

「お、蒼蝶は大吉か」

「龍馬さんはどうでしたか?」

「俺も大吉」

何、さも当然のように坂本まで大吉を引いてるのさ。

僕がキッと坂本を睨んだら、そいつはフッと笑った。

おまえだけ美味しい所は持って行かせない、そう言われてるみたい。

「ん?おまえ、おみくじ2枚引いたのか?」

確かに天宮さんの手には、もう一つ開かれていないおみくじが握られていた。

どうして2枚も引いたんだろう。

「もう一つは師匠の分です」

「ああ、なるほどな」

師匠?師匠って誰だろう……。

そう言えば、前、天宮さんが魘(ウナ)されてたときに師匠って呟いていた。

多分その人の事だろう。

それよりも、坂本は天宮さんの師匠の事を知ってるのか?

すると、胸の辺りがチクッと痛んだ。

……これは良くない感覚だ。また、天宮さんを傷付けてしまう。

それだけはやっちゃいけない。

「あ、また大吉です」

「よかったな」

「はい」

天宮さんが優しい目で二つ目のおみくじを見つめた。

普段幼い笑顔が多い天宮さんだけど、その笑顔は大人っぽくて綺麗だと思った。

僕や坂本に向ける笑顔とは違う。

……彼女にこんな笑顔をさせる師匠ってどんな人なんだろう。