「天宮さんはどうだった?」
「私ですか?大吉でしたよ」
やった!天宮さんも大吉だ!
虫が良いかもしれないけど、こうなったら神社の噂を信じたい!
「お、蒼蝶は大吉か」
「龍馬さんはどうでしたか?」
「俺も大吉」
何、さも当然のように坂本まで大吉を引いてるのさ。
僕がキッと坂本を睨んだら、そいつはフッと笑った。
おまえだけ美味しい所は持って行かせない、そう言われてるみたい。
「ん?おまえ、おみくじ2枚引いたのか?」
確かに天宮さんの手には、もう一つ開かれていないおみくじが握られていた。
どうして2枚も引いたんだろう。
「もう一つは師匠の分です」
「ああ、なるほどな」
師匠?師匠って誰だろう……。
そう言えば、前、天宮さんが魘(ウナ)されてたときに師匠って呟いていた。
多分その人の事だろう。
それよりも、坂本は天宮さんの師匠の事を知ってるのか?
すると、胸の辺りがチクッと痛んだ。
……これは良くない感覚だ。また、天宮さんを傷付けてしまう。
それだけはやっちゃいけない。
「あ、また大吉です」
「よかったな」
「はい」
天宮さんが優しい目で二つ目のおみくじを見つめた。
普段幼い笑顔が多い天宮さんだけど、その笑顔は大人っぽくて綺麗だと思った。
僕や坂本に向ける笑顔とは違う。
……彼女にこんな笑顔をさせる師匠ってどんな人なんだろう。


