「龍馬さんは夢をみましたか?」 「いや、みてない」 どうやら龍馬さんは安眠だったようですね。 「さて、帰るか」 「そうですね」 着物についた草を払い、寺田屋へと向かう。 どこかの家で夕食の支度をしているのか、魚を焼く香ばしい匂いがします。 道を歩く人もまばらで、外に出たときに比べて落ち着いた雰囲気が流れている。 「蒼蝶」 龍馬さんが下におろしていた手を小さくひらひらさせる。 あっ、この合図。 私はすぐに龍馬さんの手を握りました。