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寝間着から岡田さんに借りた女物の着物に着替えた後、龍馬さんと京の町へ繰り出しました。
町は活気にあふれとても賑やかです。
「それで、どこに行くんですか?」
私は歩調をそろえて歩いてくれている龍馬さんに尋ねました。
「修理に頼んでいたのを取りに行く」
「何か壊れたんですか?」
「ん、まあな」
頭の中で何だろうと思っていると、一軒の店に辿り着きました。
龍馬さんがお店の人に名前を言うと、お店の人は部屋の奥へと下がります。
そして戻って来ると、その手には銀色の懐中時計がありました。
「どうですか?」
「ああ、十分だ」
龍馬さんは懐中時計を受取り、お金を払うとすぐに店を出ました。
「壊れた物って懐中時計だったんですか」
「ああ」
「どうして壊れたんですか?」
「……さあな」
龍馬さんがわからないとなると、知らないうちにどこかにぶつけて壊してしまったのでしょうか。


