私の師匠は沖田総司です【下】


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天宮さんの冷たい手を握りながら、人の間を縫うように歩く。

少し後ろを見ると、手を繋がれても大人しくついてくる、天宮さんの姿がある。

ご主人様に叱られた犬のように、ションボリした顔で、トボトボと歩いていた。

正月早々、坂本なんかに会うなんて最悪だ。

それに、天宮さんを落ち込ませたから、なお最悪。

でも、天宮さんも天宮さんだ。

天宮さんが忽然(コツゼン)と姿を消したとき、本当に生きた心地がしなかった。

見つからなかったらどうしよう。

拐われたんじゃないかって思ったら、不安でたまらなかった。

で、必死で探して見つけたと思ったら、坂本龍馬と楽しそうに話してるんだ。

僕のこの時の気持ちが分かる?

安心したと同時に、かなりムカッとした。

……心が狭いと思う。

でも、それだけ君のことが心配だったんだ。

だから僕はあの時、君にお仕置きしてしまった。

でも、天宮さんは女の子だ。それに、坂本が言うには身体も弱いらしい。

やっぱり、いくらお仕置きだとしても、顔の鷲掴みはやり過ぎたな。