「まさか……」
「ああ。天宮は俺たちを人質にされていたんだ。そのせいで話せなかった。そして、ここまで考えると山南さんが襲われた事件。それも奴らの仕業だろう。
山南さんを襲うことにより、天宮に俺たちの命はいつでも奪えること見せつけたんだ」
語っている内に手に力がこもり、怒りに震えていた。
仲間思いの天宮の心を弄んだ巧妙な口封じ。
一人で俺たちの命を背負い、口封じをされ、何も知らない周りから中傷されてどれほど辛かったのだろう。
考えるだけで胸が締め付けられる。
もっと、早く気付いて行動に移していれば……。
重い後悔で吐き気がした。
「一ちゃん……、どないする?副長たちに知らせるか?」
「いや。この件は俺たちだけで片をつけよう。副長たちが簡単に天宮の無実を信じるとは思えない。それに間者だと知る者が多ければ多いほど、奴らに感づかれる可能性が高くなる」
「そうやな、わかった。で、いつ捕縛するんや?」
「今夜だ。悪の芽を摘み取るのは早い方がいいからな」
誰一人逃がさない。
必ず全員捕縛し、天宮の罪を晴らしてみせる。


